実践的哲学:マルクスの「自省録(Meditations)」

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マルクスの「自省録(Meditations)」

僕は本屋が大好きなのですが時々、
表紙のデザインや質感に妙に惹かれて買ってしまうことがあります。

そんな偶然をきっかけに手にした本だったのですが、内容的にも良い本だったのでご紹介したいと思います。

マルクスって誰?

マルクス・アウレリウス・アントニウス。
紀元前2世紀を生きた、実在のローマ皇帝です。

皇帝でありながら哲学者でもあったとのことです。

マルクスが皇帝に即位したときには、ローマ帝国は全盛期を過ぎており、
天災や伝染病、戦争等の問題と向き合ってきた皇帝です。

ハリウッド映画の「グラディエーター」の中にも、晩年のマルクスが自省録を執筆しているシーンがあるのだそう。

自省録(Meditations)について

この本は、国の君主であるマルクスが様々な問題と直面する中で、
自分自身のために綴った「瞑想記録ノート」です。

英語圏では「Meditation」(瞑想)というタイトルで、日本国内では「自省録」というタイトルで出版されてきました。
本書はその新約版になります。

マルクスは瞑想を行うだけではなく、文字として書くこと・アウトプットすることで、

  • 自分自身に語りかける
  • 精神の修行を行う
  • セルフセラピー(自己治癒)

という側面があった様です。

哲学と聞くと取っつき辛そうですが、非常に実践的で現代にも通ずる内容になっています。
また、本書自体も各テーマ1ページずつの構成になっており、興味のあるところをかいつまんで読むこともできるので、非常に読みやすい一冊です。

個人的に好きな章 3つ

1ページ1テーマで 読みやすいです

具体的にどの様な内容が書かれているのかわかりづらいと思いますので、
僕が個人的に好きだったテーマをピックアップしてみます。

苦しんでいないで行動せよ

自分の外にあるものに苦痛に感じるのは、そのもの自体に悩むのではなく、
苦痛だと君が思い込んでいるからだ。

苦痛が君自身の気質からくるものであれば、
君以外のいったい誰が思い込みを正してくれるというのだ?

もし、自分が正しいことをしていないから苦痛を感じるのだとしたら、
なぜ苦しんでいないで行動しないのか?

新訳 自省録 058 苦しんでいないで行動せよ

「思い込みを捨てよ」という章の中で、繰り返し語られていることですが、

苦しみは自分の中にあり、
それは自分次第で消し去ってしまうことができる、とマルクスは書いています。

苦痛を抱えたまま悶々とし続けるのではなく、さっさと行動せよということ。

肝に銘じておきたいです。

しないことと言わないこと

それが適切でないなら、しないこと。

それが真実でなければ、言わないこと。

新訳 自省録 093 しないことと言わないこと

書かれていることはシンプルですが、時に難しいことかもしれないな、と思いました。

僕も思ってもいないことを言ってしまって、後に後悔するような経験が時々あります。

この言葉は「人の助けを求めよ」の章に書かれているのですが、
きっとこういった(良くない)小さな積み重ねが、人の信頼を損ねることに繋がってしまうのだろうと改めて思います。

気をつけていかなくては。。

時は過ぎ去り二度と戻ってこない

思い出してみよう。

君はいったい、どれだけ前からずるずると引き伸ばしてきたのだろうか?

なんども機会を与えてもらいながら、
それを有効に使ってこなかったのではないか?

新訳 自省録 001 時は過ぎ去り二度と戻ってこない

厳しいお言葉、胸に刺さります。

しかしこの言葉もすべて、自省の中でマルクスが彼自身に対して書いたこと。
(つまり彼自身もできていないという反省の念があったのだと推測します。)

この「今」を全力で行動できない自分に対して、少しがっかりしてしまったりすることがありますが、これは皇帝マルクスであっても同じだったのかなと。

おそらく今後も、このような後悔の気持ちを抱くことは度々あると思いまが、
その時々の自分の「今」に集中することで、少しでも改善・向上していけるようにしたいと感じます。

まとめ

この本を読んでいて感じたことは、マルクスも様々なことに悩み苦しみながら、
皇帝としての責務を果たしてきていたということ。

そしてそんな自信を向上させたり、ときに苦しい自分自身を整理するために、
日々の内省を書き綴っていた。

書くことによるセラピー。

マルクスの残した言葉達そのものもですが、
この内省するという行為自体が、悩みは違えど現代の自分達にも参考になると思いました。

少しでも興味があったらぜひ、手に取ってみてください。
どことなく聖書の様で、本としても格好いいです。(電子書籍版もあるようですので、お好みでどうぞ。)

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