【システムアーキテクト】論文ネタのつくりかた
システムアーキテクト試験を受験し、無事に一発合格する事ができました。
しかし試験前は午後Ⅱの論文が心配でした。
【抱えていた不安】
- 自分の業務経験で論文が書けるだろうか…
- 準備した論文ネタが本番の出題テーマに合わなかったら…
特に不安だったのは、問題テーマに合った業務経験を論述できるかという点でした。
良い業務経験(ネタ)を持っていなければ書けないと思ったからです。
そんな私でしたが試行錯誤の末、何とか試験を突破できました。
非常に助けられた対策本がありますので、論文対策の取り組みとあわせてシェアできればと思います。
※本記事は論文問題対策にフォーカスしています。
受験時の私について
IPA試験経験
- 基本情報・応用情報を保有
- 高度試験は初受験
- 午前Ⅰは免除
業務経歴
- SIerにてSE経験 8年目
- アプリケーションエンジニア
- 3〜4年ほどアプリ開発(設計、コーディング、テスト等)
- 5年程上流工程を担当(要件定義、設計、テスト、導入等)
- 少しだけ運用保守
こんな感じです。
論文が不安だった理由
有名参考書ベースに進めてみたが…
SA初受験のため包括的に取り組む必要があるだろう と、
スタンダードな参考書をベースに学習していました。(定番の「情報処理教科書」を使用。)
午後Ⅰの「事例解析」問題については以下のような観点で学習を進められる事ができました。
- 出題傾向をつかむ
- 回答の仕方をつかむ
- 試験時間感覚をつかむ
午後Ⅰは学習を重ねていけば、次第にできる感覚が生まれてきます。
[① 問題演習] → [② 回答確認] → [③ 考え方のズレを修正]
というサイクルを回していきました。
論文の対策で感じたハードル
しかし午後Ⅱの論文対策は、午後Ⅰと同じ要領では上手くはいきませんでした。
円滑に対策が進められなかった課題が以下になります。
[① 問題演習] での課題
- 1回論文を書く上で、約2h(模範回答確認も含めると+1h程度)かかるため、
そもそも実施のハードルが高い - 「同じようなテーマが出題される可能性は低いのでは? 」
と心のどこかで思ってしまう - 書き始めようと思って問題文を読むと、「こんな業務経験ないんですけど…」と嫌になる
[② 回答確認] および [③ 考え方のズレを修正] での課題
- 自分の回答と模範回答は、当然案件事例が異なる。 → 参考に眺めて終わる
- 向上している手応えを感じづらい
※「情報処理教科書」には一応、数年分の問題・回答が載っています。
しかしあくまで「今回の設問に対しては、こう書くのがポイントです」という解説が主なため、
ある程度できる方が、傾向をつかむ活用方法になるのかなと思いました。
論文対策とおすすめ参考書
書店で一通りの本を立ち読みした後、午後Ⅱ論文対策に導入した本がこちらになります。
『最速の論述対策』
こちらに書かれている内容が、私の悩みにフィットしました。
本書から私が参考にしたポイントをご紹介します。
① 論述するテーマ(案件)を決めてしまう
「出題に合わせて論述テーマを考える」のではなく、
「論述するテーマを事前に決めておき、出題に合わせてカスタマイズする」アプローチです。
一般に組織の中で個人が経験する案件には偏りがありますから、ベテランであっても、必ずしも試験で問われるテーマにピッタリあてはまる題材がない……ということになります。
『最速の論述対策』P.24
テーマに合った経験がない事を受け入れた上で、
試験を受けること・合格できることを示してくれています。
私はこの文章を読んで本を入手することに決めました。
答案作成は,システム開発と同じ
『最速の論述対策』P.26
↓
システムは,フィクション | 答案もフィクションで
「フィクションで」と言われると、
実際に無かったことを書くなんて…という気持ちも沸くかもしれませんが、
0から無かったことを論述することはできません。
それくらいの気持ちでと捉えられたことで、気持ちの面で楽に取り組む事ができました。
私の場合、自分の経験の中で、
最も広範囲の工程を実施した経験のある案件を選びました。
※また、本書内では「1テーマ」を用意するとのことでしたが、
私の場合は1テーマでは出題テーマに対応できない可能性があり、、
保険に+1テーマを用意しました。
選定した案件について、まず文章を書くのではなく、
棚卸しを行いました。
②設問に求められる、「章・節」の組み立て方
本書では論文に合格する方法として、「不合格にならない論文を作ること」を挙げています。
当たり前のように聞こえますが、論文試験も回答を採点する人がいます。
採点者側の基準があるはずですし、それが論文作成上のルールとなってくるものと思います。
これを知って準備できているか否かが、合否の分かれ道という訳です。
特に重要だと感じた点が、「章・節立ての作成」です。
(本書内では「外部設計」と位置付けられています。)
論文も”問題”ですから、何となく出題に合わせてだらだらと書いていても仕方がありません。
設問の指示に従った構成・内容である必要があります。
それを実現する方法が「章・節立て」になります。
問題文を読み、求められている事項を正確に捉えて整理。
章・節として骨組みを作ります。
(個人的にはこれができれば6割ほどは達成、できなければこの時点でNGな気がします。)
この作業のメリットは以下です。
- 書くべき内容を整理できる
- (設問単位だと「800〜1600字」書かなければ…というところが)
節単位に分割する事で「300〜400字」書けば良い、と考えられる
この文字数であれば書けそうな気がしてきますよね。
この作業によって設問指示に従った構成を作ったら、
後はその内部を、「SAの立場として」「具体性を持って」書いていけば良い訳です。
③「モジュール」の準備
ここまでで、論文の大筋を作成する準備ができてきます。
しかし実際の試験時には、時間との戦いもあります。
そこで各節内に記述する、論述パターン(本書内では「モジュール」)を用意しておきます。
コミュニケーション関係モジュール
課題解決のため業務部門などと交わしたコミュニケーションについて。
例)
「複数部門が関与する本プロジェクトにおいては、〇〇という課題があった。
それを解決するため、××部門との調整ミーティングの場を週次で設け、
認識齟齬が発生しないよう努めた。」
リスク関係モジュール
リスク(将来発生した場合に、悪影響を及ぼす事項)について。
例)
「以降の工程で○○が発生した場合、××を招く可能性もあった。
(私はその影響を低減するため△△を提案した。)」
評価関係モジュール
実施業務について、定量的・客観的に下した評価について。
例)
「○○の導入にあたっては、××のコスト内にて完遂する事ができた。
後に利用部門にて発生した重要課題は△△件と微小であり、
本開発における対応は十分なもので合ったと評価している。」
まとめ
私が『午後Ⅱ 最速の論述対策』から学び、実践した大筋は以上になります。
取り上げられなかったポイントや、
詳細にお伝えできていない点もありますが、
非常に参考になったため、ご紹介させて頂きました。
本自体も120ページほどの薄さなので、精神的にも読みやすいです。
そのほとんどで論文作成に必要な考え方・方法について解説しており、
ワークシート形式で少しづつ論文材料を積み上げていける良書と思います。
論文にお困りの方は是非手にとって見てください。
偉そうに書いてきましたが、試験当日は時間も文字数も本当にギリギリでした。
それでも結果的には合格できましたので、あきらめないことはやはり大切です。
ご参考になれば幸いです。
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